痛み外来

疼痛管理

急性疼痛

骨折などの整形疾患や外科手術、抜歯は動物に対して痛みを与えます。また、手術に伴う痛みを麻酔薬でカバーしようとすると、大量の麻酔薬が必要となり麻酔が深くなる危険性が生じます。しかし、これらの痛みは鎮痛薬を用いることで効果的に緩和することができ、動物のストレスを減らせます。手術時においても痛みの程度を予測し、痛みのレベルに応じた疼痛管理を行うことで麻酔薬の投与量を減量し、麻酔の安全性を高めることが出来ます。当院では先取り鎮痛やマルチモーダル鎮痛、レーザー治療を用いて急性疼痛を管理しています。

先取り鎮痛

手術や抜歯による痛みの刺激が加わる前に鎮痛薬を投与することを言います。これにより処置後の痛みの強さや持続時間を軽減することが出来ます。

マルチモーダル鎮痛

作用機序の異なる複数の鎮痛薬を併用し投与することを言います。鎮痛薬を併用することによって相乗効果が生じ、投薬量を減量させながら鎮痛効果が増強できます。

慢性疼痛

慢性疼痛とは長期間持続する痛みで、慢性疾患に関連することが多くあります。例えばリウマチや関節炎、椎間板ヘルニアなどがあります。また近年では動物の長寿化に伴い癌に罹患する動物の割合が高くなり、癌による癌性痛も問題になっています。長期間の痛みは動物にとって大きなストレスとなりQOL(生活の質)の低下に繋がります。QOLを改善するためにも痛みの管理が重要になります。当院では慢性疼痛の管理としてマルチモーダル鎮痛や運動療法、温熱療法、レーザー治療などを行っています。

鎮痛法の例

薬物療法

痛みの程度に応じた薬を使用します。

軽~中程度の痛み

非ステロイド系消炎鎮痛薬
避妊や去勢、抜歯などの術中、術後鎮痛として用いられます。また、関節炎などの慢性の痛みの管理などにも使用します。
非麻薬系オピオイド
鎮痛効果がより強く、一般的な鎮痛薬では効果が薄い場合に使用します。

中等度~重度の痛み

麻薬系オピオイド
中等度~重度の痛みを伴う手術や、癌による痛みなどに対して用いられます。
局所麻酔
痛みを伝達する神経をブロックし痛覚を一時的に抑制します。局所麻酔を用いることで吸入麻酔の量を減らすことが出来ます。また全身麻酔が不要な場合にも使用されます。

サプリメント

サプリメントの中には脂肪酸といった抗炎症物質を多く含むものがあります。これらのサプリメントは関節炎の痛みや皮膚の炎症を抑えるといった効果があり、以前より元気に歩くようになった、毛並みが良くなったとおっしゃる飼い主様もいらっしゃいます。

レーザー療法

痛みを伴わず、心地よい温熱感のあるレーザーを当てることで炎症や痛みを抑える効果があります。

温熱療法

体を温めると伸展性が向上し、血流量が増加して治癒が促進されます。温熱は疾患の早期では痛覚が誘発する可能性がありますが、炎症の消退後に鎮痛効果が現れます。

運動療法

運動は血流やリンパの流れを改善し、軟組織による骨格と脊髄の支持を増強し、腱と靭帯の柔軟性を向上させます。人では運動療法による痛みの改善が示されています。