犬と猫の歯について

第14回  犬の咬耗(こうもう)

咬耗(こうもう)とは、ご飯を食べる時など咀嚼(そしゃく)によって生じる摩滅、テニスボールやサッカーボール、石など硬いものを咬んで生じる摩滅、不正咬合によって歯同士がぶつかることによって生じる摩滅の事を言います。この病気は、硬いものを咬むのを好んだり、野外でのボール遊びを好むような中〜大型犬に多く認められます。

 

 

 

 

 

 

 

上記の写真のように歯が徐々に削れて歯冠(しかん)の高さが低くなってる状況を咬耗と言います。咬耗は複数の歯で起こっている事が確認できます。

通常は、徐々に発生する為、歯の中心にある歯髄は自らを守ろうと象牙質が形成され、歯髄が外界に露出する事(露髄)がありませんが、急速な咬耗によって歯髄が露出してしまう事もあります。

※歯髄とは俗にいう歯の神経のことです。歯の中心に位置し、象牙質に囲まれた歯髄腔にあります。

ここで重要なのは、その歯が露髄をしているかどうかになります。

露髄をしていなければ治療の必要はありませんが、露髄をしている場合には治療が必要になるからです。

以下に、この症例の診断から治療までの流れを確認していきたいと思います。

診断は、視診によってまず歯冠の高さが低くなっている事を確認します。その後、探針(エキスプローラー)という先端が針の様に尖った器具を使用して、咬耗したところを触ります。もし、露髄していれば下の写真の様に器具の先端が穴に刺さるのが確認できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、確認のために歯科用レントゲンで歯の状況を確認します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、歯の中に入っている歯髄(黒い部分)が歯の表面に開通しているのがわかります。(露髄)

そして、さらに、歯の根っこの方をレントゲンで確認してみると根っこの周囲が黒くなっているのが確認されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、この咬耗した歯は、表面に穴が空き、口の中の細菌が歯髄に入り込み、根っこの先に膿が溜まってしまったという事がわかります。(根尖周囲病巣)

この場合、歯を残すためには何度か麻酔をかけて治療をする必要がある、治療費用が高くなるという理由から飼い主さまと相談した結果、歯を抜く事となりました。

 

 

 

 

 

 

 

この様に、気付かないうちに歯が削れて神経が露出して感染を起こしていたという事も少なくありません。

中型犬以上のわんちゃんでは特に気をつけていただきたいと思います。

ボールで遊ぶ時はゴムボールなど表面の材質が硬くないものを選んで遊ぶといいでしょう。もちろん、誤って飲み込んだりしない注意は必要ですよ!

『歯科専門病院だからこそできる治療。確かな医療をペットに、正しい知識を飼い主さまに!』

最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/

東京杉並区の荻窪にあり、双子は歯科医師、荻窪ツイン動物病院

院長 町田健吾