第3回 歯が折れた!(Part1 抜髄編)

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ワンちゃんもネコちゃんも歯が折れる事が比較的良くあります。

しかし、双方の折れ方は異なります。

ワンちゃんは硬いものを噛んで奥歯(第4前臼歯)が折れ、ネコちゃんは落下など外傷によって上あごの犬歯が折れることがほとんどです。

歯が折れ、中の神経まで露出してしまうと、痛みが出ます。(露髄)

若い子ほど歯が折れた時に露髄するリスクが高く、それに伴う感染症(根尖膿瘍)のリスクも高くなります。

治療方法は抜髄(歯内治療)が適応となります。

必要のない歯は無いので、残せる歯はなるべく残してあげたいと考えていますが、以下の理由より残さない(抜歯)方がいい場合もあります。

・もうすでに歯の根っこに感染が起こっている場合*1

・縦に深く折れてしまった場合

・残った歯質が少なく歯の本来の機能の回復が望めない場合

・残した歯が折れる可能性が高い場合

・高齢で神経の治療が困難な場合

・すでに歯周病になっていて歯の寿命が短い場合

*1感染が起こっていても複数回の治療を行うことで歯を温存して治療する事も可能です。

 

今回紹介するワンちゃんは4歳1か月のミニチュアダックス。

牛皮を巻いたガムを食べて歯が折れた(破折)ということで当院に来院されました。

飼い主さまの希望により歯を残す治療を行いました。

まず、全身麻酔下でお口のクリーニングを行い、綺麗になった状態で治療を行います。

 

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歯科レントゲンを撮影します。

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歯の根っこの感染が無い事を確認します。

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神経が露出していたので、お口の中の細菌が歯の中に侵入し、血管や神経に

感染をしていますので、感染の温床になる物を全てファイル(黄色の器具)というもので除去します。

この歯には3本の根っこがあるので、それぞれの根っこにアプローチして全て綺麗に切削、洗浄します。

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歯の中が綺麗になったら、殺菌剤であるビタペックスという黄色い物を注入します。

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今後、穴から感染を起こさないようにガッタパーチャーという樹脂を隙間なく緊密に詰めます。

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全ての穴に詰め終わったら、最後はコンポジットレジンというものを用いて穴を修復します。(歯冠修復)

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治療終了後の肉眼写真とレントゲン写真はコチラです。

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全ての根っこに綺麗に樹脂が充填(根管充填)されているのがレントゲンでわかりますでしょうか?さらに、表面には蓋をしていますので、細菌や唾液が侵入しないようになりました。

これで、痛みもなく今まで通り美味しくご飯が食べれるようになります。

飼い主さまは今まで与えていた硬いガムを全て捨てて、歯磨きを頑張っています☆

歯が折れないためには、蹄(ひづめ)やアキレス腱、プラスチック製の噛むおもちゃなどは絶対に与えないようにしてください。

ちなみに、アメリカの食品医薬品局(FDA)は骨は決して安全ではなく深刻な問題をもたらすことがあると飼い主に向けて警鐘を鳴らしています。

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歯が折れてしまったら抜歯。

ではなく歯を残してあげる事も治療の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

 

『歯科専門病院だからこそできる治療。確かな医療をペットに、正しい知識を飼い主さまに!』

最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/

東京杉並区の荻窪にあり、双子は歯科医師、荻窪ツイン動物病院

院長 町田健吾