第10回 猫の難治性口内炎??

猫の難治性口内炎は現在、「歯肉口内炎」や「尾側口内炎」(Feline Gingivostomatisis)と定義される猫ちゃん特有の病気であり、QOLを著しく低下させる代表的な疾患です。※ QOL(Quality Of Life)=生活の質

この疾患は下記の写真の様に歯周病で起こる歯肉や歯槽粘膜の炎症に留まらず、飛び火のように説明のつかない部位に炎症を起こすことが特徴です。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この疾患は若いと1歳未満で発症し、年齢と共に徐々に悪化していきます。年齢と共に悪化するのは歯周病との関係が深く、歯周病の進行とともに悪化する為です。

症状が軽い場合は、主訴が口臭のみであることが多く、症状が重くなるにつれて口をペチャペチャ、モグモグする仕草が多くなり、よだれで口周りが汚れ(下記写真)、食欲不振(特にドライフードを嫌がる)、体重減少、前足で口をひっかく、頭を傾けて食べる、採食時やあくびをする時に痛みで途中で止めたり悲鳴をあげるようになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明らかな原因は分かっていませんが、口腔内細菌の増加が病状を悪化させる事は明白なため、麻酔下での歯周病治療や自宅でのデンタルケアが重要と考えられています。

ステロイドや抗生剤、インターフェロン、サプリメントはあくまでも対症療法でしかなく、根本的な治療にはなりません。以前は内科治療も考えられていた病気ですが、現在は外科的な対応(抜歯)が必要な病気として考えられています。

残念ながらこの病気では、完治や改善が認められる最も効果的な方法は抜歯となります。

全臼歯抜歯では約6割の子が、全顎抜歯では約8割の子で改善が認められると言われています。

 

【治療前】

 

 

 

 

 

 

 

 

とっても痛そうですよね。猫ちゃんは我慢強いですよね。自分が同じ状況だったらご飯食べた時にはきっと悲鳴をあげていると思います。。。

【全顎抜歯3週間後】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口の中の赤い腫れがだいぶ落ち着いて綺麗になっています。これならご飯食べた時にも痛くありません。

治療後に飼い主さまからよく、おもちゃで遊ぶ様になった。元気になった。ご飯をよく食べる様になった。と言われます。

もちろん、程度が軽いものであれば歯のクリーニング、オーラルケア、抗生剤、ステロイド剤や免疫抑制剤などで経過を観察する場合もありますが、症状が進んだものでは早期に外科的治療(抜歯)の介入が必要と考えられています。

しかし、ただ抜歯すればいいというわけではなく、適切な抜歯が必要と考えられています。特に、不適切な抜歯による残根が生じた場合、口内炎が治らない要因になりえると考えられています。つまり、安全でミスの少ない抜歯を行うためにも歯科用レントゲンは必要不可欠と考えられます。

また、下記の写真の様に若齢(7か月齢)での発症も見られます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このケースでは重症になる前に避妊手術と一緒に歯のクリーニングが行え、その後飼い主による歯磨きが可能であったことからその後、口内炎は消失し、良好な経過をたどるケースもあります。

この様な病気で困っている猫ちゃんに限らず、若くてもちゃんと病院でお口の中の状況を確認してもらう事も重要と考えます。また、歯磨きをすることで治療や予防ができる病気もたくさんありますので猫ちゃんもしっかり歯磨きをする必要があります。

何か口に違和感がを感じている様子があれば病院でしっかり見てもらいましょう。

さらに、若い子なのにあまりおもちゃなどで遊ばない、ご飯の食べムラがある、選り好みをするなどがあった場合には注意が必要です。

 

『歯科専門病院だからこそできる治療。確かな医療をペットに、正しい知識を飼い主さまに!』

最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/

東京杉並区の荻窪にあり、双子は歯科医師、荻窪ツイン動物病院

院長 町田健吾