第12回 犬の生え替わり(乳歯遺残)

今回は歯の生え替わりについてお話ししたいと思います。

犬は人と同様、乳歯から永久歯に生え変わる2生歯性と呼ばれる歯の交換が起こります。

一般的に、乳歯の萌出(ほうしゅつ;歯が歯肉から頭を出して生える事)は1~2か月齢で、乳歯から永久歯の交換は5か月齢から7か月齢に生じます。

同じ月齢でも犬種や個体によって放出や交換の時期は異なります。例えば、同じ6か月齢でも柴犬では歯の交換が完了していても、チワワやティーカッププードルの様な小さな個体ではまだまだこれからという子も多く見られます。

特に小型犬では乳歯が適切な時期に抜け落ちず、永久歯が正常な位置に移動できないことによって不正咬合になりやすいです。

例)上あご犬歯の乳歯遺残(並んで生えている犬歯の右側が永久歯、左側が乳歯)

この様に乳歯が抜け落ちない事によって起こる歯並びの異常によって乳歯と永久歯の隙間に歯垢が溜まりやすく早期に歯周病になってしまったり、噛み合わせが悪くご飯が食べにくいなどの症状が出る事があります。

そうならない為には適切な時期に乳歯を抜く事が必要となります。

適切な時期というのは、その個体によって、遺残している歯の種類(切歯、臼歯、犬歯)、乳歯が生えてどのくらいの時期が経過しているかによっても変わりますので省略しますが、今回は乳歯抜歯をした一例をご紹介させていただきます。

症例は6か月と1週のミニチュアシュナウザーちゃん

上あごと下あごの犬歯が遺残しているのがわかります。

(細くて長いのが乳歯で上あごでは左側、下あごでは手前が乳歯です)

両方とも抜けていなければいけない時期を過ぎていますが、急いで乳歯を抜歯してあげれば正常な歯並びになると判断したため、この症例の治療は早急に乳歯を抜歯することとしました。

下の写真が乳歯抜歯をして2週間後です。正常な位置に永久犬歯が移動しているのがわかると思います。

この様に適切な時期に乳歯を抜いてあげれば、ほとんどの子で外科的な矯正(※)は必要ありません。

(※不正咬合が成立してしまった後に永久歯を正常な位置に移動させる方法)

乳歯が残っていても写真の様に不正咬合にならないケースもありますが、歯石が溜まり易くなるのでなるべく早いうちに乳歯を抜いてあげる必要があります。

ちなみにたくさん乳歯が残っていると1歳3か月(豆柴)でも下の写真の様に歯石が付着してしまいます。

当院では生後6カ月もしくは7か月健診を行い、乳歯の状態を確認した上で乳歯抜歯の必要があるか、を判断させていただいています。

去勢/避妊手術を行う予定であれば一緒の日に行うと全身麻酔が1回で済みますのでワンちゃんの負担は少なくて済みます。

この時期になったら、お家の子の歯の生え替わりをチェックしてみてください!

 

『歯科専門病院だからこそできる治療。確かな医療をペットに、正しい知識を飼い主さまに!』

最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/

荻窪ツイン動物病院 院長 町田健吾

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