第13回 犬の口腔内腫瘍(口の中のできもの、しゅよう)

※注意!このブログ内には手術で切除した組織の写真があります。見れる人のみお読みください!

当院では歯科、口腔内の診察を専門的に行っているため、「口腔内腫瘍(こうくうないしゅよう)」を診断、治療する事が多くあります。

そして、「口腔内腫瘍」は決して稀なものではなく、部位別に見ると実は4番目に多い腫瘍だったりします。

腫瘍が発生しやすい部位は、1.皮膚 2.リンパ系 3.乳腺 4.口腔という報告があります。

そして、腫瘍には「良性」と「悪性」があります。

良性腫瘍は緩やかに大きくなるものの転移などはしない為生命にかかわる事はありませんが、悪性腫瘍は急速に大きくなり機能障害を引き起こしたり転移をするためそれが原因で亡くなってしまいます。

今回は、口のなかにできものが認められた時にはどうしたらいいのかを症例交えてご紹介したいと思います。

まず、下の写真の様にできものを発見した場合は、すぐに動物病院に行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

ここで、大事なのはこのできものが良性なのか悪性なのかです。

ただ、基本的には獣医さんもこれが悪性なのかどうかというのは見た目ではわかりませんので、まずは組織検査という事をしなければいけません。

何故ならば、上記のものは「形質細胞腫」という悪性腫瘍であり下記のものは「辺縁性歯原性線維腫」という良性のものになります。ある程度は知識と経験ですぐに診断できるものもありますが、基本的にはまず全身麻酔下で組織検査をする必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

組織検査をする時は、腫瘍の大きさや深部への広がりを視診や触診にて確認し、口腔内レントゲンを撮影して骨への浸潤を確認します。さらには、リンパ節転移の確認や歯周病の状況など口腔内の状況を確認して、全体の状況を把握するように努めます。

最終的には病理検査の結果が出て確定診断となり、治療方法を相談させていただきます。腫瘍の種類によって手術方法が異なりますので診断名が決まってからではないと確実な手術はできません。基本的には手術をする前に必ず確定診断をする必要があります。

一部の腫瘍を除いて悪性腫瘍の治療の大原則は外科切除となります。

そこに補助療法として抗がん剤や放射線治療が行われます。

 

当院での外科治療症例を一部紹介します。

① MIX 4歳 7kg 

主訴)1週間前から口の中がただれている

 

 

 

 

 

 

 

 

診断)右上あご犬歯と臼歯の間に盛り上がりを確認。盛り上がりは臼歯を後ろに変位させているため腫瘍の可能性が高いと考えられたため、まず組織検査で確定診断をする事になった。

組織検査結果) 棘細胞性エナメル上皮腫(キョクサイボウセイエナメルジョウヒシュ)

治療方針)この腫瘍は周囲への浸潤が強く広範囲に切除しなければいけないと再発してしまう悪性腫瘍です。右上あごの犬歯~臼歯まで含め切除する事となりました。

 

切除した組織

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手術6か月後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

術後経過)

外からの見た目の変化もなく、術後半年経った時点で再発もなく健康に暮らしています。

悪性腫瘍は完全に取り切れ、完治と判断しました。

 

② ミニチュア・ダックス 17歳 

主訴)他院で歯周病と診断されたが、左顎の腫れがどんどん悪化しているという事でセカンドオピニオンを希望

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

診断)注射針を刺して腫瘍の中の細胞を確認し、悪性黒色腫(メラノーマ)と確定診断しました。

治療方針)この子の場合かかりつけの病院を受診したのが4か月も前になり、現在はかなり巨大な腫瘍となっており、首のリンパ節まで転移が確認されました。その為、すでに切除しても根治は困難と考えられましたが、ご飯が食べにくくなっている事、少しでもこの子が楽になればという飼い主さまの希望より下あごの部分切除とリンパ節の切除をする事になりました。

腫瘍ごと切除した下あご

 

 

 

 

 

 

 

切除したリンパ節

 

 

 

 

 

 

 

 

手術2週間後の外貌

 

 

 

 

 

 

 

 

術後経過)

現在はご飯も食べ元気に過ごしています。今後は再発に注意しながら病院で検診を続けています。見た目にもほとんど変わりはありません。むしろ以前よりスッキリしていて飼い主さまは大変満足されておりました。

 

長くなってしまったので、紹介はこれまでにしますが、口の中にできものを見つけたらすぐに動物病院に受診し、それが悪いものではないのかを確認してもらいましょう!

発見が早ければ悪性腫瘍でも完治が可能です!!

つまり、飼い主さまには日頃から愛犬の口の中を見る習慣をつけていただきたいと思います。歯磨きを毎日していればそれは自然とクリアできる事でしょう。

そして、以下の症状が認められたらすぐに病院に行くようにしましょう。

1.口臭がきつくなった

2.口から出血している

3.ご飯が食べずらそう

 

次回は、猫ちゃんの腫瘍についてご紹介したいと思います。

 

『歯科専門病院だからこそできる治療。確かな医療をペットに、正しい知識を飼い主さまに!』

最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/

荻窪ツイン動物病院 院長 町田健吾

 

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